小野マトペの業務日誌(アニメ制作してない篇)

はてなダイアリーの閉鎖をうけ、旧ブログ http://d.hatena.ne.jp/ono_matope/ から移行しました。続きは→ http://matope.hatenablog.com/

最近作った動画。シヴァ、イフリート、ゴーレム。

最近また動画のお仕事をして、お芝居用のカットを作りました。制作過程をUstreamで公開したりしていたので、完成版もアップしてみます。

お題「大水が発生して襲いかかる」

http://www.onomatope.2-d.jp/archives/movies/water.mov
YouTube:http://www.youtube.com/watch?v=Uaq98juniLQ
ちょっとエンコードが上手くいってなくて白が汚くなってるんですが、ご容赦。
このカットは、ほぼ流体系プラグインCC Mr.Mercury一本で作ってます。Mr.Mercuryは以前作った火山の表現でも使ってる、最近一番お気に入りのプラグインです。
具体的には

水の下地となる模様を「フラクタルノイズ」で作ります。

そのレイヤーに対して、「CC Mr.Mercury」を掛けます。

トーンカーブ」で色を出して飛沫を重ねて…

全体に「グロー」を掛けて光らせる事で、仕上げの透明感が表現出来ました。

お題「炎が発生して襲いかかる」

http://www.onomatope.2-d.jp/archives/movies/fire.mov
YouTube:http://www.youtube.com/watch?v=Dq5l4nb1zoM
これも、CC Mr.Mercuryがメインですが、3Dレイヤーで素材を重ねたり、ワンポイントで有償プラグイン「Trapcode Particuler」を組み合わせています。
前半の爆炎の解説をします。

爆炎の下地をフラクタルノイズで作ります。上の大水のときは水流を意識した素材でしたが、今回は爆炎をイメージしたモコモコとした画を作ります。外縁部は黒グラデを重ねて、端が見えないように。

それを下地に、「CC Mr.Mercury」を掛け、「コロラマ」で火焔風の色をつけます。また、火炎の消え際がちょっと液体っぽいので、「ブラー(集中)」でごまかします。
http://www.onomatope.2-d.jp/archives/movies/flame.mov
この段階で爆炎のキーフレーム(発生率)も設定します。これが、爆炎一つ一つの素材になります。

爆炎の素材を3Dレイヤーでカメラに向かって並べ、インタイムをずらして奥から順番に着火します。Avalon、Avalon〜

ワンポイントに「Trapcode Particular」で火の粉を発生させます。Perticle SetをCloudsetにして、「燃えカス」の様な大きな粒子を配置しています。回転系パラメータを操作して、火の粉らしい舞い方を出すのが激しく難しかったです。爆炎が通り過ぎたあとにちょろっと火の粉が残る感じがケレンが効いてますね。

お題「岩山が出現する」

http://www.onomatope.2-d.jp/archives/movies/stone.mov
YouTube:http://www.youtube.com/watch?v=rlLeiCO4uVI
「グロー」で光らせた美術素材に「Trapcode Particular」で煙を発生させ、「Particular」の発生源を3Dレイヤーの「位置」にエクスプレッションで連動させた、という以外は実に地味なキーフレーム作業です。ひたすら大量の岩を手付けのモーションで飛ばしまくりました。本当はワンポイントに、岩同士の衝突時に火花の一つも飛ばした方が良いかもしれませんが、すでに十分忙しい画面なので、省略。どうでもいいけど、飛んでくる岩がちょっと美味しそうな画に仕上がりました。

まとめ

今回は疑似3D風の表現が多くて、「AEでこんな事やるんだったらMayaでも買った方が早いんじゃなかろうか」と何度も思いましたが、考えてみたらMayaで本格的なパーティクルエフェクトを描こうと思ったらプラグインだけで何十万の世界なので、コスト的にはAEでシコシコTipsを磨くのも正解かなと思えて来ました。
まあこんな感じです。演出家のセンセーをはじめ現場でも好評だったようで、良かったです。あと、今回は珍しく稽古に先行して全行程が完了したので、もっと良かったです。毎回本番前日にいやな汗を流したりしてるので…。