小野マトペの業務日誌(アニメ制作してない篇)

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バグダッド・カフェ

バグダッド・カフェ 完全版 [DVD]

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心の回復に関する映画。1時間半の極度に抑圧されたドラマに耐えた末、最後の10分のちょっとしたスペクタクルで心洗われるという『バッファロー'66』みたいな映画。荒みきった砂漠の家族経営のカフェに、夫と別れたばかりのエキセントリックドイツ女がやってきて、みんなが彼女に影響されていく…というある意味『ROOKIES』みたいな映画。『サウンド・オブ・ミュージック』って言った方が近いんでしょうな。
特にストーリーに起伏もなく、耐えられるか退屈か、相当ギリギリの所で拮抗し、不思議な魅力を放つ。小津とかってこんな感じなんだろうか。主人公のジャスミンさんが、あくまで来訪者として描かれ、カフェから離れたところは殆ど最低限度しか描写されず、一度帰国してから唐突にバグダッド・カフェに再訪するまでの間に彼女に何が起こったのかなど描かれないところが味噌なんでしょう。
そして、最終的にバグダッド・カフェの人々は関係性を回復するが、彼女だけは冒頭で失った関係性を修復しないで、最初と違う居場所を見つけて終わるというのもいいところなんでしょう。でも形而下でのドラマがない上に演出の希求力の無い映画って云うのは正直ちょっと観るのが疲れる。でもだからこその魅力なんでしょうなこれは。