小野マトペの業務日誌(アニメ制作してない篇)

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雲のむこう、約束の場所

渋谷で見てきました。取り敢えず、この映画のハイライトはエンドロールじゃなかろうかと。監督・脚本・美術・CGワーク・彩色設定・音響監督の全てにクレジットされてる肩書き背負いすぎな新海誠に笑いつつ、なんだか時代の潮流を感じる。あと、サンクス欄にメテオールがクレジットされてる事にビックリしてニヤニヤしてたのは俺だけか。
メテオールは、新海氏が「彼女と彼女の猫」でグランプリを取った年のDoGACGAコンテストで同期受賞(佳作)を果たしている秋葉系バンド。かなり印象的な映像だったので、また名前が聞けて嬉しい。DoGAの縁って強いなー、と。そういえば今回作画監督のGODxDOGの田澤潮氏もDoGAだし、サンクス欄にはDoGA代表かまたゆたか氏も。
えーとナカナカ楽しめたとは思います。前作までの不安点だった人物アニメも、GODxDOG田澤潮氏及び作画陣参加で、キチンと安心して見られるプロレベルだし。しかし作品としては少し物足りない気もするのは贅沢なのかなんなのか。カタルシスが無かったから?
田澤氏は、デジスタでLIFE NO COLORが有名なフリーのアニメーターで、正直個人的には取りたてて好きではなかったのだけど、今回スケートのシーンとか、スゴイナーと。ただしかし、どうしても新海美術に負けてる気が。鑑賞中はそんな事無いのだけれど、観た後思い出すのは音楽と美術ばかりだったので。作画と音楽以外の全ての作業を司る新海ワールドにあってなんだか他人行儀というかなんというか。なんだろう。いや、悪くないんだけど。華が無いのか?だとしてもそれを責めていいものか。「アニメは他の映画と違って、キャラで全てを語るしかない」との押井守の言葉をちょっと思い出した。

作品としての評価をどの様に下していいかイマイチ分からないのは、制作体制がイマイチ分からないからかな。言うまでも無く前作は、作品内容もさることながら独力で作り上げた点が圧倒的であった訳だけど、どうやら今回は集団作業らしいので、そこら辺の評価はどうしても厳しくなる訳で。で、パンフを見る限りチーム新海という集団は、百人規模*1のスタジオを持たない集団らしい。う〜ん、今「集団」としか形容できなかったな。プロダクションやスタジオより小規模で、アマチュアの例えばサークルなんかより大掛かりな集団。そういう制作体制からしても、今作は「中間」の作品だなと。まあ分かってはいたけどさ。傑作アマチュアアニメから、傑作劇場アニメの丁度中間。
彼女と彼女の猫」:DoGA上映会
      ↓
ほしのこえ」  :トリウッド
      ↓
「雲のむこう、…」:シネマライズ
と公開規模もそんな感じでグレードアップしてるし。アマチュア側からの流れでそういう位置付けの作品が出来たってことがポイントでしょうか。次はスタジオ構えて全国系か。感想の話に戻ると、俺が心なし物足りなさを感じたのは、この規模のアニメっていうのが今までなかったからか(多分)。全国系でない長編劇場アニメってのを想像できなかったから、全国系と比べてしまったんだろう。
そう納得すると、やっぱスゴイな〜。みたいな当たり前の実感を持てる訳ですが。新海氏が拓いた道に、他のアマチュア作家も続いて欲しいと思う。そんな簡単な事ではないけど。

*1:せっかく買ったパンフを、どうやら劇場のイスの下に落としてしまったらしく、確認不可